Lesson 2-2 現実



Q、JWの聖書翻訳である「新世界訳聖書」は優れた翻訳ですが?

 80年ほど前に英語初版が発表された当初は、出来上がりの珍しさから評価する学者の声もあったようですが、現在では新世界訳は評価できる翻訳聖書とはみなされていません。その理由の一つが、誤った翻訳ポリシーです。筆者が日本べテルで翻訳担当者から直接に聞いた内容を簡単に言えば「なるべく直訳を目指している」ということです・・・(JWでは字義訳と言っています)また、日本語版は英語版からの二重翻訳です。直訳を二回もやるとどうなるか、言うまでもありません。

 JWの多くの方は他の翻訳に触れたことがなく、根拠のない否定感情を他の翻訳に対して抱いています。

 JWの言うように聖書は新世界訳でなければ本物ではないのであれば、遠い昔から現代まで聖書が全世界で大量に配布され読まれてきたことは、人類に何の救いももたらさないどころか、非常に悪いことになってしまいます。

エフェソス 6:8‐9
あなた方も知っているように、奴隷であれ自由人であれ、人が何にせよ善いことを行なうなら、エホバからそれに報いていただくことになるからです。そして・・脅しつけるようなことはやめなさい。あなた方の知っているように、彼らにもあなた方にも主人である方が天におられるからであり、その方に不公平はないのです。


Q、この組織は世界中で一致した基準で結ばれていますが?

 世界のJW会衆の基準は一致していません。

 まず、欧米の会衆と日本の会衆は全くの別物です。そしてご存じの通り、日本の中でも会衆によって雰囲気は大幅に違いますし、善悪の基準も一致していません。

 信仰面でも一致していません。例えば「ハルマゲドン後の楽園」に対する期待の差異が代表的です。年配者を中心として、田舎的な牧歌的なほのぼのとした田園生活が全地球に広がり、それが永遠に続くことを確信している人々がいますが、若い人々はそのような生活はあまり期待していません。というより都会的な文明を再構築することを期待しています。ちなみに聖書には、都市生活を予期させる記述があります。(詩編 69:35‐36,107:4‐7,36)

 同様に年配者を中心とする人々の多くは、詩編37章29節などを根拠として、ハルマゲドン後の楽園では宇宙開発など決してないと公言していますが、80年代後半のJW書籍にはハルマゲドン後の楽園で、人間は宇宙全体に進出していくと示した箇所があります。


Q、この組織には特別な世界的兄弟愛がありませんか?

 ありません。世界的な愛はJWに特別ではなく、人類に普遍のものです。

 また、JWの言う「特別な兄弟関係」は、組織的取り決めのない個人的なレベルにおいては普通の一般感覚以下です。


Q、JWは世界各地で人々に聖書的教育を与え、多くの事柄を成し遂げてきました。JW以外にそのような組織はありませんよ?

 この点で長年の実績があるのはJWではなく伝統カトリック教会や正統系プロテスタント教派です。

 最近の実例としては、中国における地下教会の活動があります。中国では政府非公認の地下教会の活動が活発ですが、彼らはJWではありません。今後、中国共産党が政府非公認の宗教への迫害を解除したとしても、もはやJWの出る幕はありません。

使徒 10:34‐35
神が不公平な方ではなく、どの国民でも、神を恐れ、義を行なう人は神に受け入れられるのだということがはっきり分かります。
ルカ 11:13
天の父は、ご自分に求めている者に聖霊を与えてくださるのです。
ローマ 1:16
それは、信仰を持つすべての人にとって、すなわちユダヤ人を初め、ギリシャ人にとっても、救いのための神の力なのです。
エフェソス 1:16-19
わたしは自分の祈りの中で引き続きあなた方のことを述べています。・・わたしたち信じる者に対する神の力の卓抜した偉大さがどんなものかを、あなた方が知るようになるためです。
エフェソス 4:5‐6
主は一つ、信仰は一つ、バプテスマは一つです。すべての者の神また父は一つであり、すべての上に、すべてを通し、すべての中におられるのです。

 そもそもJWは世界中に昔からまかれていた種の一部を刈り取って、誇っているだけです。


Q、この組織は発祥の「清さ」において際立っていますよ?

 JWは他の教会を全て「偽り」で「汚れている」と教えていますが、自分らはそこから派生して清められのだと主張しています。

ふれ告げる人々 10章 p122ページ
ある晩アドベンティスト派の集まりで聞いた事柄に励みを得たラッセルは、聖書の系統的な研究を始めました。
ふれ告げる人々 5章 p43‐p44
ある晩、私は礼拝が行なわれているのを聞きつけ、ほこりで薄汚れたある集会場に立ち寄った。・・そこで私は初めて、アドベンティスト派(キリスト再臨教会)の見解を幾らか耳にした。牧師はジョナス・ウェンデル氏であった。・・私はアドベンティスト派や他の教派に恩があることを認める。聖書に関する彼の説明はすべてが明快であったわけではないが・・聖書が神の霊感による著作であることに対する、ぐらついていた私の信仰を再確立し、使徒たちの記録と預言者たちの記録が密接不可分の関係にあることを示すには、神のもとにあって十分であった。私は聞いた事柄に動かされて自分の聖書に戻り、今まで以上の熱意と注意を傾けて聖書を研究するようになった。この導きに関して、私はいつまでも主に感謝し続けるだろう。
ふれ告げる人々 5章 p45
ラッセルは・・アドベンティスト派のジョナス・ウェンデルに恩があることを認めたばかりか、聖書研究で援助を受けた他の二人についても愛情をこめて語っています。ラッセルはその二人について「この親愛なる兄弟たちと行なった神の言葉の研究は、いっそう緑豊かな牧場に徐々に到達していった」と語りました。その一人、ジョージ・W・ステットソンは、聖書のまじめな研究者で、ペンシルバニア州エディンボロにあったキリスト再臨教会の牧師でした。
ふれ告げる人々 5章 p60
ラッセルは・・主の再来に関して様々な日付を定めていた人々に批判的な見方をしていました。ところが、以前ネルソン・バーバーとの交友があったころから、聖書に基づく正確な年代計算が存在すること、そしてその計算によると、異邦人の時の終わりは1914年であることを確信するようになりました。

 また、ものみの塔(Watch Tower)」という表現は、創設者ラッセル氏やJWのオリジナルではありません。

ふれ告げる人々 5章 p48
ジョージ・ストーズは、「ものみの塔: もしくは死んだ人; および将来の命の希望」という本を1850年代に出版しました。その名称は、様々な宗教刊行物のタイトルにも取り入れられました。

 ものみの塔(Watch Tower)という題は当時のアメリカの宗教刊行物の流行だったようです。ですから、JWの発祥と起源は当時のアメリカのプロテスタント系教会からの派生で間違いありません。バリバリのアメリカの宗教です。

 また、JWは会衆の中以外では、収支報告の公表や第三者による会計監査等は一切行っておりません。インターネット放送によるクレジットカード寄付のお願いが開始された2015年以降も、本部・支部の歳入と支出は非公開です。金銭的な清さを守っているという公平な証拠はありません。


Q、JWは、特別なオリジナリティを持つ特異な組織ですが?

 JWが世界で特別な存在であるという事実はありません。

  • 神の古典名の維持について

 聖書の神を「エホバ(英:Jehover)」と呼ぶことは、昔の多くのキリスト教会における普通の慣行でした。各種のもっともな理由から現代の多くの教会はエホバ名を常用することはもはやありませんが、中には今でも使うキリスト教派もあります。

  • 聖書を完全とする考えについて

 聖書の内容は完全無欠であるという考え方は今でも世界中で人気のある考え方です。特にアメリカの福音派キリスト教の信者さんたちが有名です。

  • 道徳基準について

 子育てや道徳に関するJWの教えは、18~19世紀に西洋文化圏で広く普及した封建的な基準です。分かりやすい例が、アメリカのテレビドラマ「大草原の小さな家」です。この有名ドラマで描かれていた家族の主義や教育はJWとそっくりです。JWが推奨する多くの考えは単に昔の保守系アメリカ白人文化の価値観に過ぎないことがよく分かります。

  • 輸血拒否の教えについて

 これが非聖書的、反聖書的な教義であることについては別の章で解説しています。(音声チャンネルもお聞きください。)

  • 一般の人からの賛辞について

 JWは、一般からの賛辞の言葉や感謝の言葉が世界中にあふれているように述べることが多くありますが、その多くは事業主や管理者といった方面からの声です。顧客に対して、お世辞の一つも言って良い関係を保ちたいと思うのはごく普通のことです。

  • 素晴らしい経験について

 新宗教が持つ特徴として、入信と実践の結果、多くの実体験が得られるという点があります。多くの新宗教は伝統的な既存宗教が提供できなかったものを提供します。それは新たなコミュニティーであったり、新たな仲間、新たな達成感であったりします。いずれにせよ、JW以外の数多くの宗教組織がそれらを人々に提供することに成功しており、新宗教の一世信者の間では、自分の入信する宗教への満足率が高いのが通例です。

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