Epilogue 結び


 まず、人生や幸福について考えることには限度があり、危険水域を越えてはいけないように思われます。そして・・・

遥かなる戦い

 人はそれぞれの正義を持っています。

 それぞれの真理と正義をめぐる戦いが、様々な場所で存在しています。

 そして、この戦いはお互いを深く傷付け合うまでに至ります。残念ながら、この戦いは完全に避けられるものではありません。人間らしく生きるために、自分が自分であるために、人は戦わなければなりません。悲しいことですが、人は傷付け合う宿命にあります。

 人生とは、このような悲しい道のりです。

 しかし現代は昔と変わりました。人は古典的な信仰感を持ちつつも、科学的、論理的な正しさを追求できるようになりました。というより、神を信じるならその道しかありません。

 キリスト教は聖書に基づいているわけですが、成り立ちや内容に関しては、これは確実なものではありません。聖書は適切に毒抜き、アク抜き、調理をして始めて、栄養ある食物になります。特定の教会や類似の組織に絶対的な信頼を置くのは間違いです。

 人に絶対に必要なのは、自分の毎日の生活が先人達の犠牲、屍の山の上に築かれていることに気づき、感謝することです。それ以外に道はなく、それ以上の道もないのです。

本当の真理について

 やっかいなのは、JWを抜けてから相当経っても、結局はその精神世界から抜け出せない方々も結構いるらしいという点です。

 自然に神様を信じるのは自然なことです。しかし無神論の正しさも認めることができなければなりません。真理とは簡単なものでした。「優しい、あわれみの心」、これが真理です。聖書そのものは真理ではありません。

 神は「聖書」や「正義」をふりかざす人よりも、愛と優しさと恵みを持って行動する人の方を祝福しておられます。ですから、無神論でもあわれみのある人は真理を持っています。

 トルストイ民話集「人はなんで生きるか」には、キリスト教的な答えが示されています。

「他者への愛や思いやりを忘れずに生きること。人は皆いつか死ぬのだから」

 特定の宗教の僧職者でありながらも、他の宗教を邪宗と否定せず、広い愛を示した方は大勢います。これをJWは否定し、古いものに逆戻りします。古風な信仰心を大切に守ることと、現実と折り合いをつけることに失敗しているのです。

 神が進めてくださった時計の針を逆戻しすること。そこに神のご意志はありません。

 唯一残された「愛のおきて」は文字通りだったのです。

 余計な「付加」「解説」は要りませんでした。

 優しさと思いやり、あわれみ。それが真理です。

「なぜ神がおられるなら、このような苦しみが許されているのか」

「なぜ神がおられるなら、このような不公正や残酷が現世では容認されるのか。現世が天国や楽園、または来世へつながる試験の場のようなものであるとすれば、本当に神様は愛の方であるといえるか」

 といった永遠の疑問に、万人が納得できる答えを提供できる思想はありません。

 これが本当のところであり真実です。

 それを完全に解決したように見せるのがカルトです。

 あらゆる信仰や信念は、気をつけないとカルト的な世界への入り口となりかねません。あらゆるカルトは、需要があって成長します。狂信者が一人熱弁をふるっても、共鳴してぶらさがる人々がいなければ、それほどには成長しません。

 人は信仰を持つことで強くなれます。しかし信仰を持つ人間は、そうでない人を軽蔑したり、憎んだり、恐れたりするべきではありません。 

 脱JW後、もう何年もたつのに、いまだに心の中の問題が解決しないという方は多いようです。私は思います。その問題に他者からの答えはありません。

 生まれつき人生に悲観的な人の場合、人生とは無意味で希望がない、という事実を真正面から受け入れる必要があります。世界は残酷で、公正はありません。それが真実です。

 そうであれば、いや、そうであるからこそ、神から与えられた良心が輝くのであり、聖書を調理した温かい教えが必要です、そして、信仰の名を借りた消極主義に堕さない、積極的で良心的な行動が光るのです。

 ですが、残念ながらカルト的精神世界というものは依然、世界で強力であり、そこから脱出できる人もいれば、永遠にラビリンスに囚われ、その精神世界から脱出できない人もいます。それが現実です。

 しかし貴殿は、脱出と卒業を果たされることでしょう。私は心からそれを願っています。

 最後に、広大なインターネット空間の中で、この微細なサイトが貴殿の目にとまった事、貴重なお時間を割いてお読み頂いたことを改めて感謝します。(各章の内容がリライトされている音声チャンネルもご聴取くださればさらに幸甚です)


TO DEAR READERS

Thank you for your reading.

Please take care of yoursellves.

God be with you.  

written by Blue Lights


会衆内のSOS

Since 2001

0コメント

  • 1000 / 1000